1. 福島県立医科大学附属病院は県内唯一の総合周産期医療センターであり、ハイリスク妊娠・分娩を中心に、より安全で快適な周産期医療を提供できるよう日々心がけています。周産期グループは臨床面において、切迫流産・切迫早産を適切に治療(予防)するための研究を続けています。胎児の健康状態を把握するための超音波診断や胎児心拍モニタリング等の精度を高めていく努力を続けています。分娩は大出血を伴う等のリスクもあり、救急時に対応できる診療体制も構築しています。
また、基礎的実験として妊娠ヒツジの母胎モデルを用いた胎児生理・母体生理の研究や、妊娠ラットモデルによるDOHaD(成人病胎児起源)説に関連した研究も行っています。臨床研究・基礎研究のみならず、当講座では、福島県で行われている社会医学的調査にも積極的に関わっています。東日本大震災(福島第一原子力発電所事故)後に始まった福島県・県民健康管理調査の一環である「妊産婦に関する調査」や、震災前から計画されていた環境省「子どもの健康と環境に関する全国調査(通称:エコチル)」福島ユニット(2012年に福島県全域に対象地域を拡大)、福島県産婦人科医会と協力して行う「妊娠数・自然流産数・人工流産数の動態統計調査」など、福島県で妊娠・出産する方に安心と安全を届けられるよう、県内4か所の地域周産期医療センターや県内全域の妊娠取扱い医療機関と連携しながら全力で取り組んだ診療の結果を、統計として形に残していくことも重要だと考えています。少数精鋭のスタッフで、診療、教育、臨床研究、基礎研究、社会医学的調査等に今後も取り組んでいきます。
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